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レイニールは驚いた表情で立ち尽くしているディーノのことなど気にかける様子もなく話し出す。
「固有スキルというものは知らぬが、お前は何やら他の者とは違う感じがするのじゃ――なんというか、特別な感じがする……」
「特別な感じ……?」
そのレイニールの言葉を聞いて、星は腰に差した剣の柄に手をかけた。
レイニールの言葉を聞いて、星は忘れかけていた襲って来た男達のことを思い出す。
その瞬間。辺りに何とも言えない緊張が走った。
何よりも怪しいのは、この男が何故早朝の森の中に居たのか?ということだ――目的があったにしても、誰が敵になってもおかしくない状況下で、例え子供であったとしても、むやみやたらと話し掛けはしない。
っと言うことは、星かまたはレイニールに用事があったとしか考えられないが、今までの会話から推測しても、ディーノは星とレイニールどちらとも面識はなく初対面なのは間違いないだろう。
であれば、考えられるのは一つ。前回の男達同様に何かを求めて近付いてきたのかそれとも……狙いは星とレイニールそのものと言うことも考えられる。
以前。学校でも言ってた子供を誘拐しようとしてくる不審者というのに、笑顔で近付いてきている彼は該当するのかもしれない。
星のイメージだと夜に厚着のコートを羽織って道の端に立ち、近付いてくる小学生に裸を見せる人物。
身代金要求の為にワンボックスカーで誘拐しようとする人物、または、ワンボックスカーで誘拐した後に、体に悪戯をしようとする変態。
だが、この何れも中年の男か不細工な小太りの男、どちらにしても顔が残念な人達しかイメージできなかったが、目の前の男は身長も高く目鼻立ちもハッキリしていて女性達は放って置かないだろう。
そんな男がそんな犯罪を起こすとは考えられないが……どちらにしても、不審な点の多い彼を警戒するに越したことはない。
星はディーノを睨みながら口を開く。
「……あなたが誰かは知りませんが、私とレイに何かするつもりなら……私も本気であなたを倒します!」
「ふーん。なるほどね……まだ僕は君達に信用されてないわけだ」
「……はい」
頷く星は、不信感に満ちた瞳をディーノに向けて小さく頷く。
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