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だが、そんな言い訳が今のデイビッドが聞き入れるわけもなく、逆にこの発言は挑発とも取れるものだ。
「……くっ! マップが視界に表示されてて、どうやったら道に迷うって言うんだよ!」
デイビッドが目を細めてディーノを鋭く睨んでいると、横からエミルが口を挟んできた。
「あなたの言う事も一理あるわ。なら、質問を変えましょう。あなたは、どうして星ちゃんに接近したのかしら? いや、なにが目的でって言った方がいいかしらね……」
エミルは質問すると、怪訝そうに目を細めてディーノの顔色を窺っている。おそらく。それが彼女に取って、一番知りたい質問なのだろう。
何を目的に星に近付いたのか――いや、もしかしたら星意外のメンバーの誰かかもしれない。
再び襲われる可能性を捨てきれない以上。住居を提供しているエミルの立場からして、仲間達の身の安全が最優先ということだろう。
エミルがその質問をした直後、部屋の中に流れる空気が一瞬で張り詰めたものへと変わった。
その質問に、ディーノは口元に微かな笑みを浮かべながら答えた。
「――そうだね。あえて言うなら、あの子に興味があるから……かな?」
エミルはその言葉を聞いた直後。烈火の如く怒り出し、テーブルを叩いて椅子から立ち上がる。
「なっ、なんですって!! 星ちゃんはまだ子供なのよ!? それなのにあの子と関係を持ちたいだなんて、絶対に許せるわけないでしょ!?」
「「……えっ?」」
顔を真っ赤に染めながらそう叫んだエミルを、2人はぽかんと口を開けながら彼女の顔を見上げている。
エミルはすぐに我に返ると、頬を真っ赤に染めながら叫んだ。
「ち、違うの!? そういう意味じゃなくて! そうだったら困るから先に言っておいたというかなんというか……とにかく今のは違うのよ!」
エミルが耳まで真っ赤にしながらそう叫ぶと、恥ずかしさから両手で顔を覆っている。
羞恥心に顔から火が出る勢いの彼女を放っておいて、今度はデイビッドが質問した。
「なら、お前は星ちゃんの何に興味があるんだ? あの子は戦闘はできないし。装備も、それ程いい物を持っているとは言えない。そんな子のどこに興味があるんだ?」
デイビッドはディーノの瞳をじっと見つめながら問い掛けた。
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