名御屋までの道中

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「――ほう。強ければ、何をしても良いのだな?」  その時、どこからか何者かの声が辺りに響き渡る。 『だ、誰だッ!?』  男達は一斉にその声の方を向いた。  彼等の視線の先には、太い木の枝から彼等を見下ろしている髪を後ろで縛った白髪頭の黒い道着を纏った老人が腕組をして仁王立ちしている姿があった。  それは紛れもないマスターの姿だ――。 『誰だお前は!!』 「――お前達のような。獣同然の者に名乗る名などないわっ!!」  マスターは高く跳び上がると、彼の拳が黒いオーラを纏う。 「くたばれ。この外道が!! ダークネスフレアァァァァァァッ!!」  その直後、マスターの掌から圧縮された闇属性のオーラが発射され、男達の周りはたちまち砂煙に包まれた。  突然の遠距離攻撃に男達も何が起きたのか分からず、砂煙の中でひたすら怒鳴り声を上げている。    マスターは地面に着地すると、その隙きに少女を抱きかかえて離脱したメルディウスが現れた。 「――ふむ。首尾良くやったようだな。メルディウス」 「おう! それじゃとどめと行こうか。じじい!」  メルディウスは少女をその場に降ろすと、剣を構えて跳び上がった。  マスターも両手を前に突き出すと、その手に再び黒いオーラが立ち上がる。 「ダークネスファング!!」  すると、マスターは黒いオーラを帯びている手を地面に向かって両手を突き刺す。  両手の黒いオーラが地面に吸い込まれた次の瞬間。オーラで作られた大きなドラゴンの頭が現れ、砂煙ごと男達を呑み込んだ。  マスターの技の効果で、ドラゴンの口の中に閉じ込められた彼等は闇属性のダメージを受けている。  その直後、空中高くに跳び上がったメルディウスの愛用のベルセルクが大斧の姿へと変わる。  メルディウスは大斧を頭上に構えると、マスターの出したドラゴンの鼻先目掛けて、勢い良く振り下ろした。 「うおりゃああああああああッ!! 吹き飛ばせベルセルク!!」  彼の大斧が当たると同時に、内部で凄まじい爆発が連発して起きる。  マスターの必殺技『ダークネスファング』の発動中は、内部外部両方からの攻撃の全てが中に通るのだ――。
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