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そんな中、星の頭を撫でながら、徐ろにエリエが口を開く。
「――星。たまには2人だけでお出掛けしよっか!」
「……えっ?」
その彼女の言葉を聞いて、きょとんとしながら星が彼女の顔を見上げる。
それもそのはずだ。今はさっきまであかね色に染まっていた日も落ちかけ、後1時間もすればすっかり暗くなるという時間。
今から外に出掛けるなんて、エミルが許すはずはないと星は思ったからだ。
まあ、今朝のことを考えると、こんな時間からの外出なんてエミルは絶対に許してくれるはずがない。
それが分かっているのか、困惑した表情で俯き加減に呟く。
「……でも」
口籠った星は彼女のその提案に、心配そうな表情で俯いた。
「大丈夫! 今はエミル姉はイシェルさんとお風呂に入ってるはずだから!」
「……そ、そういう問題じゃ――」
「――さて、悩んでると夜になっちゃうよ。早く行こっ!」
星がそう言葉を返そうとした瞬間、エリエは強引に星の手を取って走り出した。
部屋を駆け抜け、廊下を走っていたが不思議と誰ともすれ違うことはなかった。
「ちょっ、ちょっと待って……」
階段の入り口で星は困惑した表情であたふたしていると、エリエは止まってくれない。
それどころか、どんどんスピードが速くなる。
その勢いから察するに、どこか焦っている様にも見えた。まあ、彼女もエミルにバレたらどうなるか分かっているのだろう。
「なに!? ちょっと待つのじゃ~!」
そんな2人を見て、慌ててレイニールが後を追ってくる。
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