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エリエはサラザに今にも泣き出しそうな瞳を向け、掻き消えそうな声で尋ねた。
「……ねぇ~。私どうしたらいいのかな……? サラザ」
「う~ん」
グラスを持ってエリエの隣の席に来て唸っているサラザに、エリエは話しを続ける。
「エミル姉は無理に付き合わなくていいって言うんだけど……エミル姉を見捨てるのは嫌だし。でも、星を守り切れる自信もないの……困っちゃっうよね……」
「……エリー」
無理に微笑んで見せているエリエの頭を覆うように、サラザのたくましく大きな手が優しく撫でる。
エリエは視線だけをサラザに向け、軽く首を傾げた。
「馬鹿ねぇ~。1人で思い詰める必要ないのよ? 私がいるじゃな~い。あなたの為なら、命なんか惜しくないわ~」
「……サラザ。でも――」
サラザの口から出たその心強い言葉に瞳を潤ませたエリエが口を開こうとした時、それを遮る様にエリエの唇にサラザの人差し指が触れた。
「――ふふっ、大丈夫。私が負けるのは恋だけなんだから。必ずエリーも皆も守ってあ・げ・る♪」
「うぅ~。ありがとうサラザ~!!」
エリエは微笑むサラザの首に抱きつく様に腕を回すと、瞳を潤ませながらサラザに頬擦りしていた。
すると、サラザはエリエの肩にがっしりとした腕を回してぶら下がるかたちになった彼女の体を支える。
そんな時、店のドアが勢い良く開いた。
「今日も来たわよ~。サラザ!」
「いいお肉が入ったんだって~?」
勢い良く開いた扉から、世にも奇妙な2人のオカマが入店してきた。
1人はサラザと同じくらいのムキムキの体でリーゼントに茶色い瞳のオカマで、2人目はまるで相撲取りのような恰幅の良い体格で、毛先をツンツンと逆立った緑色の短髪に黄色い瞳のオカマだった。
「あらお客さん? 珍しいわね~」
「あら~、ガーベラにカルビじゃな~い。いらっしゃ~い」
サラザが顔だけ入口に向けて笑顔で迎える。
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