お風呂

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 しばらくして、扉の開く音とともにエミルが駆けて部屋の中に飛び込んできた。 「――イシェ! ごめんなさい。ちょっと狩りに時間がかかって……って星ちゃん!? あなた。なんて格好してるの!!」  エミルはテーブルに少女と向かい合って座り、カップを持っている星の裸にワイシャツだけというとんでもない格好を見て唖然としている。  状況が理解できず、星は不思議そうに驚いているエミルの顔を見つめ、きょとんとした表情で小首を傾げた。  呆れるエミルに出来事の一部始終事情を説明した星は、自分の格好に恥ずかしくなり、頬を赤く染めながら、いたたまれずに俯いて指をいじっている。  そんな星を見て、全く反省の色の見えない様子でにこにこと微笑んでいる少女を見て、エミルが大きなため息をついた。 「はぁ~。なるほどね……まったく。これは全部イシェのいたずらね……」 「ふふっ。いたずらなんてひどいわ~。うちはこの子は綺麗な黒髪やから裸エプロンよりも裸ワイシャツの方が似合いそうやと思っただけなんよ?」 「――えぇ!? でも、さっきはこれが法律での決まりだって……」  微笑みながら手を合わせてそう告げた少女に、騙されたことに気付いた星は驚いた様子で彼女の顔を見た。  だが、彼女は悪びれるどころか、自分がそんな発言をしたことすらすっかり忘れているのか、終始笑みを浮かべている。  正反対の反応を見せている星達を見て、エミルはまた大きなため息を漏らす。 「はぁ……。要するに、星ちゃんはイシェに遊ばれてただけって事ね……」 「そ、そんなぁ~」  エミルの話を聞いた星はしょんぼりしていると、少女はそんな星の顔を覗き込んできた。 「うちはイシェルってゆうん。これから仲良うしような~。星ちゃん」 「は、はい……こちらこそ仲良くしてくださいね?」  にこにこ微笑んでいるイシェルに、少し怯えたように聞き返すと、イシェルは「もちろんやん」と星の頭を撫で回した。  だが、星はそのイシェルの笑顔に不信感を抱く。 (なにを考えてるのか分からない人だ。私、この人苦手かも……)  っと自分に向けて微笑みを浮かべているイシェルの顔を見つめ、星は心の中でそう呟いた。
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