ログアウト不可

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ログアウト不可

 それから1時間近く2人は剣を交えていたが、エミルが途中で熱が入ってしまい。  結局は星の方が「参った」というはめになってしまった為、ご褒美を期待していた星にとっては残念な結果になってしまった。  地面に座り込んで肩で息をしている星に、エミルが声を掛ける。 「さて、それじゃ。そろそろ街に戻りましょうか」 「うぅ…… お菓子……」  今にも泣きそうな表情のまま、星は剣をぎゅっと握りしめて、がっくりと肩を落としている。  そんな星を見かねて、エミルは背中側から覆い被さるように星の肩に腕を回すと、そっと耳元でささやいた。 「――大丈夫。星ちゃんの頑張りは伝わったから、約束通り。ご褒美に何かごちそうしてあげるわ!」 「……!?」  星の頭を撫でながら「本当ですか!?」と、嬉しそうに振り向く星に、エミルは小さく笑みを返す。  2人は手を繋いで街へと帰ると、何だか街中が騒がしいことに気付く。  エミルは不思議に思い。近くにいた剣士とエルフの剣士の男達の話に耳を澄ました。  すると……。 「おい! どうなってるんだ? ログアウトを押してもエラーが出るだけで落ちれないぞ!?」 「これってやばいんじゃないのか? このままログアウト出来なかったら、俺達どうなるんだよ!?」 「いや、まさか……そんな事ないだろう。すぐに運営の方から連絡メールが来るさ!」 「――もしこなかったらどうなるんだ? 俺達」 「お前。縁起でもないこと言うんじゃねぇよ!!」  その会話の内容から、事の重大性と緊迫した現状が伝わって来る。  何かの冗談という気持ちが大きかったが、徐々に不安の方が大きくなってきて……。 (ログアウト出来ない? そんなバカな……)  エミルはそう思いながらも、一度自分のコマンドを開きログアウトを試みた。しかし、彼等の言っていた通り。目の前に【ERR】と表示されるだけで何も起こる様子がない。
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