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ディーノは少し考えると、困った顔で星に尋ねた。
「……それじゃー。どうしたら星ちゃんは、僕の事を信用してくれるのかな?」
「…………」
それを聞いた星は考え込むと、しばらくしてディーノの瞳を見つめながら言った。
「なら、私達の見える所に居てください!」
「なんだ。そんな事で良いなら、お安いご用さ!」
ディーノはにっこりと笑うと、星の目の前に座り込んだ。
ほっとしたのも束の間、ディーノはまた星に質問してくる。
「星ちゃんの固有スキルは何? すっごく興味があるんだけど、良かったら僕に教えてくれないかな?」
「……固有スキルはソードマスターです」
「へぇー。ソードマスターって言うんだ…………」
ディーノはそれを聞いて呟き、小さく笑みを浮かべると更に言葉を続けた。
「なるほど、聞いたことないスキルだなー。Sランク以上の固有スキルであることは確実そうだけど、良かったら見せてもらえないかな……そのスキル」
「えっ? いえ、それは……」
突如として身を乗り出して、星の顔を覗き込んできたディーノから視線を逸らす星。
それもそうだ。星はまだ固有スキルを自由に使用することができず、運良く発動できたのは富士のダンジョンの洞窟で、がしゃどくろと戦った時だけだ――。
その時もレイニールが剣の姿からドラゴンの姿へと変身させただけで、特に自分が強くなったというわけではなかった。
スキルの能力の全容が分からない内に、使うわけにもいかない。暴走することも考えられるからだ。
星が困った顔をして俯いていると、レイニールの金色のツインテールが星の前に割って入ってきた。
「主は教えたくないのだ。それに知り合ってまだ時間の浅いお前に、それを教える事はできぬのじゃ!」
レイニールは両手を広げて星の前に立ちはだかると、むっとしながらディーノの顔を睨みつけている。
その威圧感に負けたのか、ディーノはため息をついて小さく呟いた。
「はぁー。まっ、いいんだ。でも少し興味があったから残念だけど、また今度にするよ……」
「……はい。すみません」
星が小さな声で言って俯くと、突然ディーノの「危ない!」と言う声とともに体が後ろに倒れる
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