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「お米さん! 俺、もう諦めました。俺は心を無にして、華々しくない自分の運命を受け入れます。
何ソレ? 私が悪いみたいじゃない。やめてよ。
「ちょっと待った諸君。クルーが此処を離れた。今しばらくは留まっていられるだろう。」
「はは。でも俺、弱ってきてます。もう疲れました。生きている意味がわかりません。」
…『意味なんて無いから意味を見つけろ』なんてよく言われるセリフを、私は言わないわ。私は、勝手に生きて勝手に死ぬ。それは自分で決めたの。
「…。」
「…。」
好きな事をして楽しいを見つける。楽しい事を探しに探して死ぬの。
「…。」
「…俺、なんだか、ちょっとだけ、山かけ丼になってみてもいいかと思った。俺の人生、変化のない人生だったからなあ…。」
「人生はいつまでも青春だ。お米はいつも誰かのとなりに寄り添うもの。君達の土台は任せたまえ。」
「店長すみません。新人が下手こいたの、フロアでフォローしてる間にトロロ黄ばんできてしまいました。廃棄してもいいですか?」
「おう。捨てとけ!」
えっ、そんなぁ! イモ男、しっかりして!
黄ばんでる場合じゃないでしょ。元気だってところをあの店員に見せつけて山かけになるんでしょ。百歩譲って、私、あなたとマグロ山かけ丼になってあげてもいいわよ!
イモ男! イモ男! イモ…。
「儚いねぇ。私は、年甲斐もなく泣いてしまったよ。涙で体がコーティングされて、おいしそうだ。」
―こんな事になるなら、イモ男に冷たくしなければよかった。―
お米が泣いた、感動のストーリー
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