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大きなため息をつくと、私は買ったジュースを持ったまま階段に座り込んだ。
「……ホントは私だって桃李君って呼びたいよ」
「愛梨……」
「でも、あんなこと言われたら……」
気にしなきゃいいという人もいるかもしれないけれど、そこまで私は強くない……。なのに、桃李君にまであんな態度取られたら……。
「辛いよ……」
「愛梨……。ちょっと待ってて!」
「え……知佳ちゃん……?」
「すぐ戻るから!」
そう言ったかと思うと、知佳ちゃんはどこかへ走って行った。
一人になると、どんどんと気持ちが落ち込んでくる。
「桃李君……」
思わず俯いた私の頭上に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「調子に乗ってるから嫌われたんじゃないのー?」
「ふふ、それ以上言っちゃダメだよー」
顔を上げるとそこには――何度か体育館で姿を見た、あの先輩たちの姿があった。
「何ですか……?」
「桃李君に優しくされて勘違いしちゃった?」
「恥ずかしいねー。桃李君に冷たくされてやっと迷惑だったって気付けた?」
ケラケラと先輩たちは笑う。
「っ……」
言い返したかった。でも――口を開く前に、私の瞳からはポタポタと涙が溢れた。
「やだー私たちが泣かせたみたいじゃない」
「自業自得でしょー? 鬱陶しいから嫌われたの。わかりなさいよね」
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