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 あの日、初めて桃李君と出会った日、私はお兄ちゃんに猛烈に怒っていたのだ。  理由は――私のプリンをお兄ちゃんが食べたから。  初めて桃李君に会ったあの日、授業が終わって帰ってくるといつもはない男物の靴が玄関にたくさんあった。 「ただいまー」 「おかえりなさい」 「靴いっぱいあったけどお兄ちゃんの友達?」  バラバラに脱ぎ捨てられていた靴をそろえると、私はキッチンにいたお母さんに尋ねた。 「そうよー、同じクラスの友達だって」 「ふーん」  特に興味はなかったし、それよりも昨日の夕方買った新発売のプリンを食べることの方が重要だった私は、お母さんの話を適当に聞き流すとスプーンを取って冷蔵庫に向かった。 「ぷっりんーぷっりんー」  でも、開けた冷蔵庫の中には――プリンの姿はなかった。 「なんで!?」 「あ……そういえばさっきお兄ちゃんが……」  お母さんの言葉に私は、勢いよく階段を上ると、バンッという音を立ててお兄ちゃんの部屋の扉を開けた。 「お兄ちゃん! 私のプリン……」 「うわっ、なんだよ! 友達来てるんだから開けるなよな!」  ベッドの上に転がっていたお兄ちゃんは、私の姿を見ると慌てて立ち上がった。私のことを部屋から押し出そうとするお兄ちゃんの後ろには何人かの男の人が見えた。     
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