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その中にいたのが桃李君だった。
「プリンぐらい買ってやるからあっちいってろって」
「あ…………」
「ほら!」
「いいじゃん、光」
「桃李……」
押し出そうとするお兄ちゃんの後ろから、桃李君は可笑しそうに笑いながら顔を出した。
「初めまして、君が光の妹ちゃん?」
「あ、えっと……」
「僕は田神桃李。よろしくね」
その瞬間、ニッコリと笑う桃李君に――私は恋に落ちた。
くだらない理由過ぎて、今思い出しても恥ずかしい。
「あれはもう忘れてください!」
「そう? 可愛いなぁって思ったのに」
「嘘……」
「ホントホント」
笑いながら桃李君は言う。
冗談だとわかっているけれど、可愛いと言われたことが嬉しくて……にやついてしまいそうになる口元を私は必死に隠した。
「で、でも」
「ん?」
「あれからホントお兄ちゃんと仲良くなりましたよね。しょっちゅう遊びに来てましたし」
話題を変えようと思った私は、何の気なしに桃李君に言った。
でも、その言葉に桃李君はニヤリと笑う。
「光と仲良しだから俺がここに来てるとホントに思ってる?」
「違うんですか……?」
それ以外何の理由があるというのだろうか――。
「決まってんじゃん。愛梨ちゃんに会いに来てるんだよ」
「っ……!!」
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