5人が本棚に入れています
本棚に追加
恥ずかしい……。知らないうちに口から出てるなんて……。
周りに知佳ちゃん以外誰もいなかったのがせめてもの救い……。
「田神先輩かー。私は土屋先輩の方がカッコいいと思うけどなー」
「土屋先輩って……お兄ちゃん!? えー、知佳ちゃんお兄ちゃんみたいなのがタイプなの?」
へへっと知佳ちゃんは恥ずかしそうに笑った。
「へー……知佳ちゃんがお兄ちゃんを……」
「内緒だよ?」
「じゃあ、私が桃李君のこと言ってたのも内緒ね?」
「――俺がなんだって?」
「ひゃっ!」
顔を見合わせて笑う私たちの前に現れたのは……たった今その名前を口にしていた桃李君とお兄ちゃんだった……。
「妹ちゃんバスケ部入るの?」
「まさか! 桃李君私が運動神経ダメなの知ってますよね?」
「うん、知ってる」
「なら言わないでくださいよ!」
当たり前のように言うから……思わずふくれっ面になった私の頬を桃李君は指で突いて笑った。
「怒るなよ、またプリン買っていくから」
「プリンはもういいですー!」
「あ、桃李。あっちで監督が怒ってる」
「うわ、ホントだ。んじゃ妹ちゃんまたねー」
手を振ると、お兄ちゃんと並んで桃李君はコートへと戻って行った。
「なになに? 田神先輩とめっちゃ仲良しじゃん!」
最初のコメントを投稿しよう!