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つられるように、そばにいた先輩たちも私の方を見た。――まるで、蛇がマングースを睨みつけるように。
「あ、あの……」
「どうしたの?」
「せ、先輩もこれどうぞ!」
「……ありがとう」
一瞬、間が開いたように感じたけれど……桃李君はニッコリと笑うと私の手から飲み物を受け取った。
結局、私は部活には入ることなく、バスケ部のマネージャーになっていた。これなら桃李君のそばにいても変じゃないしと言った私を知佳ちゃんが呆れたように笑ってたっけ。
「ね、妹ちゃん」
「ひゃっ!」
「何その声」
桃李君は可笑しそうに笑う。
「だ、だって……先輩たちはもういいんですか?」
「うん、もう終わったから。ね、ところで絆創膏ってあるかな?」
「あ、はい。ちょっと待ってくださいね」
救急箱の中から見つけたそれを桃李君に手渡すと、指先が触れた。
「っ……」
たったそれだけなのに、指先から電流が走ったみたいにドキドキする。
「ふっ……」
「え……?」
「妹ちゃん、顔真っ赤」
「そ、そんなこと……!」
くつくつと笑う桃李君にからかわれたのだとわかる。
「もー! ほら、そろそろ休憩終わりますよ!」
「はいはい」
「頑張ってくださいね、先輩」
今度は自然に、言えたんじゃないだろうか。
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