「普通」なんかない

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 友沢は頭を下げた。自分でも、勝手なことを言っているのは分かっている。いつだって自分のことしか考えてこなかった。良くないと思っても、相手の気持ちを想像するのは難しい。人の気持ちなど、本当に理解するなんて無理だと思ってしまう。じゃあどうすればいいんだ、と堂々巡りの行きつく先は、結局のところ、自分の素直な気持ち、になってしまう。もう仕方ないとばかりに、友沢は開き直っていた。 「えっと。だから、これからはその……俺を」 「お前、を……?」 「俺を抱けばいいっすよ」 「馬鹿か。お前にそんなこと、出来るわけないだろ」 「出来るし!」
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