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「もうやめてくれ! ……そんな風に、優しいと、な……す、好き、かと、思っちまうだろ。違うから。そういうんじゃないから。お前は、俺のこと傷つけたからやばいって思ってるだけで、それはつまり、罪悪感だから……」
「そうかもしれないです。違うって断言はできない。罪悪感かもしれないし、同情かもしれないっす。でも、いいじゃないっすか」
「良くねえよ」
「もう、うるさいすよ、先輩」
「……は?」
鈴木の目が見開かれる。友沢は、かぶりを振って髪をがしがしとかいた。
「俺が! いいって! 言ってるの! 先輩となら、いいって言ってるんですよ、俺。男は無理だけど、先輩となら試してもいいし、また傷つけるかもしれないけど謝るし、諦めたくないって、言ってるんですよ。なのに、先輩は諦めるんすか」
「友沢お前何言って」
「先輩、俺のこと好きなくせに。分かってますよ。どんな隠したって、忘れられないって、顔見れば、分かっちゃいますから」
「そんな……馬鹿言うな、俺は」
「じゃあ、俺のこと、嫌いですか?」
「そういう聞き方はずるいだろ。……そんな目して」
声が掠れる。躊躇いなく攻め込んでくる友沢に、鈴木は対抗できる術がなくなりつつあることを意識した。
「好きなら、諦めなくていいんです。男同士で変だって言われたって、俺がいいって言ってるんですから、トライしたらいいじゃないですか」
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