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「でも、おれはこんな体になっちまった。喫茶店のマスターっつったって、結局お前に負んぶに抱っこだし。子育てなんて」
「そんな弱音吐く和くんは嫌いだもん!いつも、ギラギラしてた和くんが好きなんだもん!」
マスターは不格好に立ち上がった。未だ左腕はダラリとして、麻痺の兆候がはっきりと見えた。
マスターは意を決して言った。
「そうだな。俺は、ずっと迷っていた。こんな体でも、頑張れば。そういやあ、テレビに出ずっぱりの杖突き男は子供が何人もいる。嫁ちゃん、いや、梨々子。作ろう。俺達の子供。もう俯いたりしない!お前も、子供もちゃんと守ってみせる!」
「和くん!ふええええええん!」
涙の抱擁があった。
ああよかったね。
もう設定完全消去でいいの?
「よし!もう迷いはない!こんな夫婦だが、改めてよろしく頼む。島二郎」
「こちらこそ。で、勝負はもういいんですね?」
「いや。日当三万円貰っている以上、最低限やることやらないとな?俺は手加減しないぜ?島二郎。ゲーム再開だ。行くぞ!島二ぎゃあああああああああああああ!」
「それとこれとは別だもん。島くんに勝っちゃ駄目だもん」
七転八倒するマスターに、しゃがんだ嫁ちゃんが言った。履いてるパンツが見えた。別にどうってことなかった。だって石ころだし、
「サンチョおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
クソしょうもない勝利を拾った。
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