合宿しようぜ

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矢口さんはいいか?」 「ちょっとドキドキが止まんねえだ。でもヒャッホウだべ!」 「合宿は試合形式で行う練習試合が主だ。実戦形式で学んでいこう。明日集合だ。島二郎、実家にストーキングするならきちんと宿泊と明日の支度を済ませておけよ」 ダーツ部の合宿とか、頭の悪そうなイベントはこうして始まったのだった。 さっきからずっと暴れん坊八兵衛の歌が聞こえている。 青紫郎の運転するワンボックスに乗せられて、一同は合宿場とやらを目指していた。 「あーあー燃え上がーれー、バーニーング印籠ー。クラーイーング感じるーかー、百姓のなーみだーちゃらっちゃちゃらっちゃちゃらちゃちゃラーイドオンターイム心にー、火ーをー点ーけろー、ラーイドオンターイム、広ーがれー弥ー七八兵衛ー。ちゃーんちゃんちゃんー、ごー隠居ー」 「うるせえよ!色々言わせろ!ライドオンタイム燃えて広がれって何だああああああああああああ!」 「歌詞の意味なら聞く相手が違うだろう。なんか曲聞いたら疲れて帰宅モードになっちゃう奴に聞けよ」 何か解る。確かに小田さんの曲聞くと夏の夕暮れ感じてぐったりしちゃうんだよな。あと小田さんじゃねえよ達郎じゃねえか普通に間違えたよ。 「まあその部分はいいや!百姓の涙んところで!そもそも!のっけからして弥七八兵衛が弥七八兵衛じゃねええええ!さっきかから掲げられてる絵は何だあああああああああああああ!」 両手を上げて泣きながら逃げていく酷い筆致の百姓がいた。絵の。 「島二郎。言っておくが、翡鳥はバスケやらせりゃあ平然とダンクかますしおおよそ通常の人類が追いつけない人類なんだが、絵は本当に駄目なんだ。才能のかけらもないとはこのことだ」 「こないだ書いたシマジな」 「ラブカ!ラブカ!ラブカじゃねえかあああああああああああああ!目がラブカで、何で光線撃ってんの?!嬉しいけど!光線不発ううううううううううううう!!」 「子供の頃書いたドラえもんも仮面ライダーもウルトラマンも全員撃ってたな。あれはエメリウム光線だったかな?ワイドショットかな?」 「合宿場の玄関に貼るのはどうか」 「誰一人として潜る者のない最強の結界と化すだろうよ」 ワンボックスカーは、合宿所に到着した。
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