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別にどうって事はなかった。ただただ、それだけが生き甲斐だった。
君の声に気付くまでは、この異変に気付くことなんてなかった。
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とある夜、自身の住むアパートで殺人事件があった。
犯人は自首をしたらしい。
目的は「人を殺してみたかった」
なら、その犯人に是非とも尋ねてみたい。
感想はどうなのか、その時の興奮はあったのか。
大勢の人には解らない気持ちであるだろう。
しかし、ごく一部の人間には解ってしまう。
僕は、後者である。
殺人を犯したことはない。が、解ってしまうのだった。
何故か、は分からない。
取り調べを行う際、その時の犯人の心境、心情、表情が
鮮明に脳裏を過ぎる。
当然、それが役に立つことなどない。
毎日が地獄でしかなかった。
まるで自身が人を殺めてしまった気分でしかないからだ。
自首をしてしまいたいが、何もしていないのだった。
そんな日々を数十年、過ごしては今はもう30歳へ差し掛かろうと
していた。
そんな頃、ある事件が起こった。
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