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結婚してから大分バタバタしていたので僕はものすごい大事なことを忘れていることを今頃気がついた。
「橋本!」
職場のお昼休憩の時、橋本のところに僕は急いで行く。もちろん、佳乃さんが作ってくれた弁当を崩さないようにだ。
「おお!透、どうした!?」
橋本が飲んでいたお茶を吹き出しかけていたけど気にせずに僕は重大なことを言う。
「求婚するとき、僕は佳乃さんに何も渡していない・・・」
最低だ、僕としたことが。がっくりする僕に橋本が苦笑する。
「まあ、透の場合はちょっと特殊だったからな・・・今からでも贈ったらどうだ?」
佳乃さんはきっと求婚の贈り物がなくても怒るような人じゃないし、今から渡しても絶対喜んでくれると思うけど・・・。
「佳乃さんのこと僕は何も知らない・・・」
好きな花も色も誕生日も。一気に事を運んだため知らないことだらけだ。知っていたら、帯でも櫛でも指輪でも佳乃さんの喜ぶものが用意できるのに。
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