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友人もお見合いしているからというなんとなくの気持ちで行ってみた。人形のような顔をしている綺麗な女性だった。こんな美人をたいていの男は断らないだろう。だけど、
「透さん、端正な顔されていますね。」
「勉学も優れていて、家柄も立派な方なんて素敵だわ。」
・・・なんだろう。褒められているはずなのに、心がどんどん冷えていくのは。
彼女はずっと艶やかな笑みを浮かべている。美しいのに僕は目を背けた。
「・・・いえ、僕は別にそんな・・」
そう口ごもるといつの間に隣に来ていたのかそっと手を握られた。
「あなたのような素敵な方のところに女は嫁に行きたいものなんですよ。」
蛇に狙われてる蛙の気持ちが分かった。彼女と僕が結婚しても互いを想いあう間にはならない気がした。彼女は自慢できる相手と結婚したいだけなんだと。僕じゃなくてもいいのだと。
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