佳乃さんの婚約者

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僕は走った。走るのは嫌いではないけど得意とも言えない僕は、呼吸を乱しながらも立ち止まることなく走った。 「おい、危ねえな!」 「すみません!」 ぶつかりそうになる人に僕は走りながら謝る。人としてこの謝り方はどうかとは思う。だけど、今日は! 「佳乃さーーーーん!」 僕はおかしいのかもしれない。夫婦になったんだし佳乃さんも僕のこと好いてくれているのは分かってる。それでも佳乃さんを僕から引き離そうとする者がいたらこんなにも胸が痛いんだ。佳乃さんがいないと困るのは僕も同じだ! 僕は佳乃さんのことが好きすぎる病気にかかってる。そして治すつもりもない。そんな特効薬いらないし。
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