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「佳乃さん!」
僕が玄関を開けるとまだ佐太郎がいて、なんと佳乃さんの肩に手を置いている状態だった。
「!!」
驚いている場合じゃない。僕はとりあえず佐太郎の手を佳乃さんから振り払う。
「俺の嫁です。口説くなら別の方にしてください!」
佐太郎は僕の言葉に隠すことなく、いらだちを見せた。
「あんたが、僕の婚約者を奪ったのだろう、返してもらいに来た。」
「あなたが佳乃さんを手放したのでしょう!」
僕は佐太郎を追い出すため、佐太郎の腕を掴む。しかし、彼はあっさり玄関から出て行った。
「またね、佳乃。必ず俺の嫁になってもらうから。」
佐太郎は佳乃さんに満面の笑みを見せ、僕には氷のような視線を送った。
「・・・。」
人を殺せそうな視線にぞっとする。僕は勢いよく玄関を閉めた。
「透さん、・・・心配かけてごめんなさい。」
「心配すっごいしました。捕られるんじゃないかって思いました。」
僕は佳乃さんをぎゅうと抱きしめた。
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