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「ありがとうございます。」と言ってグラスを受け取ると、上半身を気だるげに起こしてそれを躊躇うことなく口に運んだ。
ラウルスはしっかり喉仏が動くのを確認すると、安心して自分も水を口に含んだ。
それから他愛もない会話をして、二人でシャワーを浴びる。
しっかりと汗や精液などを流して、広い浴槽に浸かると、少ししてヴェルが欠伸をし始めた。
「お風呂に入って眠くなったのだろう」
「はい……少し、眠ってもいいですか?」
「ああ」
ヴェルはラウルスの肩に頭を寄りかからせて、あっという間に眠りへと落ちていった。
ヴェル自身は少し眠るくらいだと思っていたが、これは薬の効果でもあり、一度寝たらそうすぐには起きられない。
ラウルスはヴェルが眠ったことを確認し、少し時間をおいてから彼を抱きかかえバスルームを出た。
持ち上げた瞬間、とても軽いことに気づく。男とは思えないほど華奢な身体だが、これほどまでとは。
苦労することなくベッドまで運び、バスルームを着させていると、まどの外からコンコン、とノックされた。
そこにいたのは部下2人。2人とも泳ぎが得意であり、それに加えて深水用の薬草を飲ませているため海の中でも息は続いている。
「誰かに見られていないか?」
「恐らく。まずこのような水の中に来るものがいないので警備が手薄でした。
ここは出発点より少し離れていますが、私たちに任せてもらえれば」
「よろしく頼むぞ」
彼らが持ってきた一時的に身を隠すための鞄にヴェルをまず入れ、続けてラウルスも入ると、静かに海の中から離脱した。
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