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部屋に入ってきて一直線にヴェルに向かって歩いてきた。
「目が覚めたか。」
「……ラウルス、様……これは一体どういうことでしょうか。ここはどこなのですか」
ヴェルの問いに、ラウルスは余裕そうに笑みを浮かべ、返答した。
「ここは、そうだな。
陸の上といったところか。」
特にちゃんとした返答をくれるわけでもないラウルスに少し苛立ち、睨みつけるが特に反応はない。
「陸の上にはほとんど来たことがないだろう?
また案内してやる。それまでゆっくりしていたらいい。
……その、小さな海の中で」
最後の台詞がとても嫌みたらしくて、思わず尾ヒレを激しく動かし水面に打ちつけた。
水が散り、絨毯の色を濃く染めたが、この現実が変わるわけではなかった。
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