3.人魚の伝説

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3.人魚の伝説

その伝説がラウルスの耳に入ってきたのは、帰還後まもなくだった。 いつもラウルスのコレクションに加えられそうなものの情報を提供している王国商人が城を訪れた時のことだ。 「ーーー…人魚?」 「ええ、人魚です。伝説によれば、見た目は恐ろしいほど美しく、全員男で出産できるみたいです。 そして、男の精を受けることによって短時間だけ、歩けるようになる、と。」 出産できる美しい男の人魚…。 恐ろしいほど美しいとはどの程度なのだろうか。 コレクターとしては気になって仕方がない。 「しかも、唄がとても上手く甘美で、まるで悪魔の唄声のようだという噂も」 「どこまで本当か確かめた者は?」 「それが…皆海に引きずり込まれた後、人魚に関する記憶を全て失って波打ち際に流されていたみたいなのです」 ということは、未だ謎に包まれたままだということか……。 すでにラウルスはその人魚伝説に夢中だった。
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