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「ねぇ理人くん。あなたは確かに魅力的よ? でもね、女の子を食い物にするのはいただけないわ。……私も、人のこと言えないけど……」
ユカリは後半語気を弱めながら言う。
「あっはははっ、そんな気まずそうな顔しなくていいのに。確かに、ユカリの言う通りだよ。でも、俺はこれしか生きてく方法知らないからさ」
「理人くん……」
「さて、俺は物件探しに行かないとな」
理人は立ち上がると、珈琲を一気に飲み干した。
「理人くん、なんなら私が手配するけど」
「いいって。後腐れないようにスパッと関係切らないと。じゃ、行ってくるよ」
理人は家から出ると、近くのコンビニ駐車場へ行った。
女性リストの中からマユの名前を見つけると、彼女にかける。
『もしもし? 珍しいじゃない、こんな朝早くに』
ハキハキとした声の女性は、物珍しげに言う。
「急で悪いんだけど、今いるところから出ないと行けなくてさ。俺が住むところ、用意できる?」
『前に言ったでしょ? ずっと部屋を用意して待ってるって』
マユの予想通りの返事に、理人は口角を上げた。
「今日の午後から行っても平気?」
『なんなら今からでもいいわよ? まぁ理人にも準備があるだろうから、準備出来次第またかけてきて。待ち合わせ場所はそちらで指定してくれて構わないから』
「ありがとう、助かるよ。それじゃ」
『えぇ、待ってるわ』
理人は電話を切ると、コンビニで部屋用消臭スプレーを買って帰った。
リビングに行くと、ユカリはまだ珈琲を飲みながらぼんやりしている。
「おかえり、理人くん」
「ただいま、ユカリ。今日中に出ていくから安心して」
「そんな、急がなくていいのに……」
ユカリは丸くした目を、何度も瞬かせながら言う。
「こういうのははやめにしないとな。それじゃ、荷物まとめてくるから」
理人は部屋に戻ると、荷物をまとめ始めた。服と充電器くらいなものだから、すぐにまとめ終わる。
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