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「おはよう、そこの席ってことは…東英之君だね」
自己紹介する手間が省けたようだ。
「……」
「無視はひどくないか?私の名前、気にならない?」
「…別に」
「無愛想だね?何かやなことがあったか?」
「強いて言うなら騒がしい女子生徒に絡まれたことかな」
「君、面白いな」
「そりゃどうも」
馴れ馴れしい。僕が君の名前なんて気になるわけがないし、なんせ同じ学年の人なら全員が知っている超有名人なんだから。彼女は小野寺卯月。運動神経抜群で陸上部、一年生ながらよくトロフィーを貰っていた。頭もよく学年の一位二位争いをしている。何より地毛が紫色で、とても美人だということで、有名になっている。そんな卯月さんと話すことになるとは夢にも思わなかった。
「それで?いつもの取り巻きはどうしたんですか?」
「なんで敬語なの?私達は友達でしょ」
「一度も喋ったことないのに?」
「今喋ってる」
どうやら彼女と僕の友達の基準は天と地の差があるようだ。面倒くさくなった僕は栞のところで本を開いた。
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