第一章 消えゆく人々 ①

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 放課後、なんとなく帰るのが面倒くさくなってなんとなく旧校舎にいる僕。なんだか違和感を感じる。今まで話したことない学校のマドンナと友達になって、賢吾に喧嘩で勝って、実感が湧いてないのかもしれない。  見たことのない教室、見たことのない廊下、何から何まで旧校舎は新鮮だ。でもなんで僕は初めてここに来たんだろう。この高校に入学して早一年、一度も踏み入れたことないなんておかしい気がする。とはいえ入ったことないのもまた事実。 「うーん…」 「何を悩んでるんだ?」 「そうだね、って」  久しぶりに二度見をした。僕の目の前、階段に座って話しかけてきた女子。スタイル抜群で大人びた雰囲気。何よりそれらを際立たせる腰のあたりまである綺麗な紫色の髪。そう、卯月さんだ。 「なんでいるの?」 「えっ…と、ここが好きだから?」  何故か疑問系で返された。 「そういうヒデはなんでここにいるの?」 「なんとなくだよ」 「なんとなくねぇ」  卯月さんは何かを考え始めた。ブツブツと独り言を言っている。 「ヒデ、一つ忠告しておく」 「はい」 「目的が本当になんとなくなら、もうここには来ないほうがいい」 「どういうこと?」 「そしてこの旧校舎のことは忘れたほうがいい」 「……?」  何を言っているのか分からなかった。たしかにここに来た理由はなんとなくだ。とはいえ来ないほうがいいって…彼女はなにか知っているんだろうか。考えても仕方がないので、取り敢えず帰ることにした。   そして気付けば家についていた。
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