第一章 消えゆく人々 ①

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 帰り道をどんなふうに歩いて帰ったのか全く覚えていない。ただ卯月さんのあの言葉だけを考えていた、それだけであっという間に時間が過ぎていた。 「ただいま…」 「おかえりなさい」  リビングから母の声が聞こえる。僕はその声が聞こえる部屋に入る。 「どこ行ってたの?」 「旧校舎」 「え?そんなものあるの?」 「あるんだよ」  あれだけ大きくて知らないのはおかしい気がするが、まぁ体育館とでも間違えたのかな。 「眠いから寝るよ」  バックを床に置く。 「そう、おやすみなさい」 「おやすみ」  美味しそうな匂い。恐らく晩飯はカレーだったのだろう。惜しいことをしたが、なんだか今日は疲れて仕方なかった。僕の部屋に入って別途に寝転がると、一瞬のうちに眠りについた。
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