今夜の月は

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 優しい響きをもつやわらかい声  ふりかえると、お隣さんが微笑んで立っていた 「こんばんは」  どきどきしながら挨拶を返すと、彼はブルーの傘をさしかけてきた 「風邪ひきますよ」 「え……?」 「よかったら一緒に入って帰りませんか?」  夢でも見ているんじゃないかと思いつつ、うなずいて歩き出す  気分がふわふわして、現実じゃないみたい 「あの、ありがとうございます」  ちょっと歩いてから、お礼を言ってなかったことに気づいて慌てて彼を見た 「どういたしまして」  すぐ近くに顔があり、優しい目があたしに向けられている  頬が火をふいたように熱い
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