第2話「さらば愛しきわが人生」

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 「いいよ、自分でやる」と言いたかったところだったが、残念ながら身体が動かないせいでナースコールも押すことはできなかった。ナースコールの一つも押せないとは、なんとも不甲斐ない。  それから看護師と医者の診察があり、今後の話しもいくつか聞かされた。運び込まれてから三日ほど経過しており、命に別状はないとのことだった。まあ目覚めることができたし、そこまで深刻なこともないだろう。命に別状がないとはいえ、身体の状態は最悪なので笑うに笑えないが。  医者の話しでは残った麻酔のせいで身体を動かし辛いとのことだった。確かに目覚めて数時間すると次第に手足を動かせるようになった。上げたり下げたりすることができるようになったくらいだったが、一番大きかったのは思うように喋れるようになったことだろう。  会話ができるということは、本当にありがたいことだと思う城瀬だった。  奏から聞いたことだが、彼女以外にも何人か見舞いに訪れているとのことだった。鹿児島からわざわざ両親も見舞いにきてくれたらしい。丁度目覚めた時は入れ違いになっていたようだが、しばらくこっちにいるらしい。  状況についてはある程度理解できた。城瀬が事故に遭ったというニュースは、すでにメディアを賑わせているようだった。どこからかぎつけたのか、わざわざ病院の前にきているマスコミもいるらしい。  いや、そんなことよりもだ。     
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