出会い

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その日の晩、早速挨拶代わりにメールを送った。 彼女もその日のうちに返事を送って来た。 その日から僕たちは、ほぼ毎日、交換日記をするかのように、長文のメールを互いに送り続けた。 彼女は高校時代、文芸部に所属していたそうで、筆まめでもあった。 僕も女の子とメールをするなんて経験が皆無に近かったので夢中になった。 もっとも、メールの内容は相変わらず、仕事のことや職場のゴシップや誰かの悪口ばかりだった。 だけど、この関係は心地良かった。誰かの悪口を言って共感してもらえる関係、愚痴を言っても受け止めてもらえる関係というのは、余程信頼がないとできない。 僕らはふたりとも口下手な方だった。 職場でもおとなしくて損をするタイプだった。 けれど、メール文章の上ではすごく饒舌だった。 互いに溜まっていたものをぶちまけていたのだと思う。
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