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メールには「おめでとう」と返事を書いたが、なんだか複雑な気分だった。
このときの複雑な気分は、彼女に対する恋心かどこかにあったからだったのか、この関係が終わると感じたからだったのか、今でもわからない。
ちなみに彼女の夫となる人物の写真を見せてもらったら、そこにはがっちりとした体格の、たくましくて、頼りになりそうな男性が映っていた。
それは、僕とは正反対の男性像だった。
幸いなことに、彼女の夫は、妻が誰かとメールをしていても気にしないような人だったらしく、メールによる関係は続いた。
この頃になると、世の中にパソコンが当たり前のように普及してきていて、職場でも職員全員にパソコンとメールアドレスが配布されていた。
僕らはいけないことだとは思いながらも、まわりの目を盗んで、そのパソコンで仕事の合間にメールのやりとりを続けた。
目を盗んでするということになんとなく興奮していたのを覚えている。
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