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今、私は ハズを感じる・・・。 いつも何時も『ハズ』を感じる・・・。 100年前の日本。 まだ誰もが、こんな風に、 自由に恋愛を出来ない時代、 私とハズは出会った。 雨の降りしきる中、 ハズは川の増水を食い止めようと、 一人必死に立ち向かっていた。 嵐で天候の荒れ狂う中、 村を必死に守ろうとするその強く逞しい姿に、 私は、一瞬で心を奪われた。 私達は、心から愛し合った。 ハズと見る景色は全てが美しく、 胸が苦しくなる位、愛おしかった。 でも、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。 いいなづけのいる時代。 親の決めた相手としか結ばれない定めの中 私達は生きていた。 ・・・涙が頬を伝った。 『ねぇ、ハズ、100年後、もう一度会いたい。 会って今度こそ、あなたと一緒になりたい。』 『100年後、俺は風になるよ。 そうすれば、ずっとお前の傍にいられる。 誰に邪魔されることなく、ずっと、ずっと お前の傍に居たいんだ』 その後、 私達は、手を握り合い、 身を投げた。 ・・・あれから、100年。 私は、今、『ハズ』を感じる。 ハズの匂いがする。ハズの香りがする。 ハズの願った通り、ハズは風になって、 いつも私の傍にいる。 私達はいつも一緒。 片時も離れない・・・。 でもね、ハズ、 今は、こんなに自由なんだよ・・・。 100年後を想像出来なかった私達。 ねぇ、ハズ、 もう一度会おう、100年後。 今度は、未来を見越して・・・。
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