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本当はちょっとだけ期待していた。私のことを好きだから、だからキスをしたんじゃないかって。
でも、そんなことなかった。
気持ちがいいからなんて……そんなの……気持ち良ければ誰が相手でもよかったって、そう言ってるとの同じじゃない……!
「凜ちゃん……!」
後ろから大和先輩の声が聞こえる。
追いつかれたくない。なのに、気が付くと私の腕は大和先輩に掴まれていた。
「なんで泣くのさ」
「っ……! 泣くに決まってるじゃないですか!」
「えー……?」
「私は、大和先輩のことが好きなんです! 大和先輩にとっては誰でもよかったかもしれないけど……私は、大和先輩だからキスしたんです!」
言ってしまった。
これでもう後戻りすることは出来ない。
明日から、あの部室へは行くことは出来ないだろう。
でも、それでもいい。
このまま気持ちのないキスを続けるより、よっぽど……。
「俺もだよ」
「え……?」
大和先輩の言葉に、私は顔を上げた。
そこにはふにゃっとした顔で笑う大和先輩がいた。
「今、なんて……」
「だから、俺も凜ちゃんが好きだよ。だから、キスしたんじゃないか」
「嘘つかないでください! 大和先輩が私のこと好きだなんて、そんなのあるはずがないです!」
「酷いなぁ」
言葉とは違って、可笑しそうに大和先輩は笑う。
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