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あの日から、何度も何度も大和先輩とキスをした。
部室で、偶然会った廊下の柱の陰で、中庭の自動販売機の裏で。大和先輩とのキスは、気持ち良くて、ドキドキして、嬉しくて、悲しくて、切ない。
何度も何度も言おうと思った。
こんなのダメだと、キスは付き合っている人が、好き合っている人がするものだと。
でも、言えなかったのは――言えばキスの相手が私じゃない誰かに変わってしまうんじゃないかと……そう思ったから。
誰かが大和先輩とこんなふうにキスをするところを想像したら、それだけで胸が張り裂けそうに痛い。
気持ちのないキスは嫌だけど……それで、大和先輩を繋ぎとめることができるのなら……。
そう思っていたのに――。
「んっ……」
もう何回目かも覚えていないキスをすると、大和先輩は部室から出て行った。
一人残された私は――なんとなく帰る気になれずに、いつも大和先輩が座っている椅子に座ると、机に頭をもたれさせた。
――何を間違えてしまったんだろう。
なんでこんなことになってしまったんだろう。
もっと早く大和先輩に告白していれば、こんなことにはならなかったんだろうか。
「っ……」
次から次へと、涙が溢れ出してくる。
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