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「凜ちゃんのいう通り、凜ちゃんとするキスは気持ち良くて、ああもっとしたい何回もしたい、もっともっとって思ったら止まらなくなっちゃった」
「っ……」
大和先輩は、思わずその場に座り込んでしまった私を、不思議そうに見下ろしていた。
何か言い返したくて、でも何を言えばいいか分からなくて、結局恨みがましい一言を言うのが精一杯だった。
「言ってくれなきゃわかんないですよお……」
遊ばれているだけだと思っていたし、大和先輩が私のことを好きだなんてこれっぽっちも思わなかった。だって、私たちはどちらも告白なんてしていないのだから……。それなのに、気持ちいいと言われたからって試してみるなんて……。
せめて、あのキスにそんな意味があるというのなら、それを教えてほしかった。そうすればあんな思いをすることもなかったのに……。
私の言葉に「それもそっか」とバツが悪そうに、大和先輩は頭を掻いた。
「そうですよ! だから、私じゃなくてもいいんだってそう思って……」
「それで泣いてたの?」
「はい……」
「俺とキスするたびに? 今みたいに泣いてたの?」
「はい……」
「そっか、ごめんね」
困ったような嬉しさを隠しきれないような……そんな複雑な顔をしてもう一度「ごめんね」と言うと、大和先輩は真剣な表情で私を見つめた。
「凜ちゃん、好きだよ」
「っ……」
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