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ねえ、俺のこと好きになってよ
幼い頃の私たちは、いつだって一緒に笑い合っていたのに、いったいいつから変わってしまったというのだろう。
私は「いってきます」と玄関から声をかけて家を出た。すると珍しく両隣の家のドアも開いた。
「……よう」
「おはよ」
左隣の西村家からは遠矢君が、右隣の加瀬家からは巧が顔を出した。
小学生の頃までは一緒家を出て、並んで学校に向かっていたというのに……。こうやって朝から三人そろうのはいったいいつぶりだろう。なんせ中高一貫の学校に三人揃って通っているというのに、三人で登校した記憶が一度もないのだから。
「おはよう! 珍しいね、二人がこの時間に出てくるの」
「……まあな」
「今日、日直なんだ」
「そっか!」
明るく言ってみるけれど、二人は顔を合わせることなく、私の両隣に並ぶと歩き始める。
私は、重苦しい空気に小さく息を吐いた。
私と、一つ年上の遠矢君と三つ年下の巧はいわゆる幼馴染で、お母さんが仕事で忙しい二人は、よくうちに来てご飯を食べていた。
だから、小さいは本当の兄弟のように育ったし、なんなら巧は私のことを姉ちゃん、遠矢君のことを兄ちゃんと呼んでいた。
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