ねえ、俺のこと好きになってよ

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 放課後、ポツリポツリと降り始めた雨がグラウンドを濡らしていた。この分だと今日は部活も休みだろうし、まっすぐ帰ろうかな。 「あれ? 巧からだ」  帰る準備をして教室を出た私は十分前に巧からチャットが届いていたことに気付いた。どうやら巧は傘を持っていないらしく、置き傘があるなら貸してほしいという連絡だった。 「しょうがないなぁ」  置き傘はないけれど、折り畳み傘は持っている。巧ひとりぐらいなら一緒に入って帰っても大丈夫なサイズだし。  私は、中等部へと向かうと巧の教室へと向かった。 「いるかなー?」  教室の中を覗き込むけれど、巧の姿は見えない。もう帰ってしまったのだろうか。  近くにいた男の子に「加瀬君ってもう帰っちゃった?」と尋ねると焦った様子で頷いて見せた。 「ありがとう」とお礼を言うと、私は昇降口へと急いだ。今ならまだ追いつけるかもしれない。  高等部と中等部の真ん中にある昇降口へと向かうと、巧の姿を探す。 「あ……いた! たく……み?」  ちょうど昇降口を出ようとしていた巧を見つけたので声をかけようとして、やめた。     
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