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「……わかってないのか。まあ、いつまでもあいつだって子どもじゃないってことだ」
「え……?」
「そのうち、彼女と一緒にいるところを目撃するかもしれないな」
「彼女、と……」
その言葉は、私の胸に言いようのないチリリとした痛みを産む。
巧に彼女ができる。そんなこと、今まで考えたことなかった。だって、巧はいつだって可愛い弟みたいな存在で……。
「……そんな顔すんなよ。まあ、あいつはおこちゃまだからな。そう考えると彼女なんてまだまだ先のことかもしれないな」
「うん……」
ぽんぽんと私の頭を撫でながら、遠矢君はそう言うけれど……。「そうだね」と無理やり作った笑顔を浮かべながらも、一度広がったもやもやはなかなか晴れることがなかった。
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