好きな人の好きな人

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 そう言うと、橘先輩は私の顔を覗き込む。  全身が心臓になってしまったかのように、ドクドクという音が頭の中でまで響く。  私は、ギュッと目を瞑ると、口を開いた。 「私、橘先輩のことが、好きで――っ!」  言い終わる前に、私の唇は柔らかい感触で塞がれる。  それが橘先輩の唇だと気付いたのは、唇が離れた後だった。 「えっ……なっ……!」 「俺も」 「え……?」 「俺も、好きだよ」  そう言って橘先輩はいつものように笑った。  でも、その表情が――いつもよりも嬉しそうに見えたのは、きっと……私の勘違いなんかじゃない。
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