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メモの行方
教室にある私の席は窓際で、後ろから二番目だ。
後ろの席の佳苗からノートの切れ端が回ってきた。小さく折りたたまれたそれを広げると――
『莉奈さん、俺と付き合って。田中友昭』
――どう見ても女の文字だった。
莉奈とは私の事だ。田中君はクラスメイト。最近この手の悪戯が多いと思う。
廊下側の一番後ろ、田中君の席をチラリと見る。教科書を立てて、それに隠れるようにして寝ていた。
誰が始めたのか分からないけど、今回は私がターゲットのようだ。私の反応を見て楽しもうとしているのは誰だろう。
教室を見渡すと目が合った子が居た。すぐに逸らすが、私の様子を窺っていたのはバレバレだ。
美和だ。まったく中学生になっても相変わらずだな。
美和とは小学生の頃からの友達で、昔から悪戯が好きな子だった。
私と美和は親友なので、今回のこれに悪気はないと分かる。
実は私が田中君を好きなのは、親友である美和には言った事があるのだ。
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