メモの行方

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 彼は――田中君は小さなメモを両手でしっかりと握りしめ、小さく震えていた。  そして突然、彼は席を立った。 「ありがとう!」  私を見ていた。 「え?」  頭が真っ白になった。  彼はもう一度言った。 「ありがとう!」  頭は何も考えられなくなっていたけど、体は行動した。  ツカツカと田中君の席まで行って、彼のノートをひったくった。  そこにはまるで、女の子みたいな文字が書き込まれていた。 「なんでこんな女みたいな字を書いてんのよ! だいたいなんでメモなのよ! 男なら直接言いなさいよ!」 「え、あ……ごめん」  田中君は私の権幕に押されて一歩引いた。  美和を見たら驚いている。彼女は関係なかった! 「そこの二人、後で職員室へ来るように」  授業中だった!  放課後二人揃って職員室で怒られたし、教室中私と田中君の話題で大変だった。  あの時の美和は窓の外を見ていただけで、たまたま私と目が合っただけらしい。    私はしばらくは好奇の目に晒される事になるだろうと、覚悟するはめになった。  え? その後の田中君との関係?  それは――  ――内緒です。
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