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エピローグ
タメル地区から徒歩で数時間かかる豪邸の1室――。
そこで鎖付きの枷で拘束されている男が、全裸でイスに座らされていた。
床には赤い水滴と、男のものと思われる手と足の指が九本落ちている。
「お願いだ……やめてくれ……」
喉を傷つけられ、思ったように声の出せない男が、ゼラを見ながら言った。
「まだ元気そうだな」
ゼラはそう言うと、手に持っていた円月輪で男の右耳の付け根に斬りつけた。
「やめ……がっあぁぁぁ!!!」
男は悲鳴をあげた。
喉につけられた傷のせいで大きな声は出ないが、男は叫び続けた。
切れ味の鋭い円月輪が、ゆっくりと右耳を男から切り剥がしていく。
ゼラは完全に切り取った右耳をそのまま床に捨て、男の傷口を止血しだした。
「血さえ止めれば、死なないもんだよな」
「やめぇ……助け……ぇ」
男はただ悲願したが、ゼラはそれを無視して言う。
「お前の息子は受け入れていたぞ。クズな自分をな」
男はゼラの言葉の意味を理解したのか、急に泣きじゃくった。
「終わりにするか」
そういうと、ゼラは男を両足を開くように逆さに吊るした。
そして、刀を握ると男の股から腹にかけて振り下ろし、深く切れ目を入れた。
男のペニスは妙な形で切り裂かれ、血と内臓が飛び出る。
その後、逆さに吊るされた男の顔に血が流れ始めた。
苦しそうに呼吸をする男の横で、ゼラは刀と円月倫についた血をふき取り、そのままなにも言わず出て行った。
……これでこの国に思い残す事はない。
私の本当にやるべき事はこれからだ。
前に死んだ者と同じ人間を作れるという技術があると聞いた。
それが本当なら、もう一度……またみんなと……。
ゼラはそう思いながら、自分の生まれた国を出て行った。
了
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