エピローグ

1/1
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ

エピローグ

タメル地区から徒歩で数時間かかる豪邸の1室――。 そこで鎖付きの(かせ)で拘束されている男が、全裸でイスに座らされていた。 床には赤い水滴と、男のものと思われる手と足の指が九本落ちている。 「お願いだ……やめてくれ……」 (のど)を傷つけられ、思ったように声の出せない男が、ゼラを見ながら言った。 「まだ元気そうだな」 ゼラはそう言うと、手に持っていた円月輪で男の右耳の付け根に斬りつけた。 「やめ……がっあぁぁぁ!!!」 男は悲鳴をあげた。 喉につけられた傷のせいで大きな声は出ないが、男は叫び続けた。 切れ味の鋭い円月輪が、ゆっくりと右耳を男から切り剥がしていく。 ゼラは完全に切り取った右耳をそのまま床に捨て、男の傷口を止血しだした。 「血さえ止めれば、死なないもんだよな」 「やめぇ……助け……ぇ」 男はただ悲願(ひがん)したが、ゼラはそれを無視して言う。 「お前の息子は受け入れていたぞ。クズな自分をな」 男はゼラの言葉の意味を理解したのか、急に泣きじゃくった。 「終わりにするか」 そういうと、ゼラは男を両足を開くように逆さに吊るした。 そして、刀を握ると男の股から腹にかけて振り下ろし、深く切れ目を入れた。 男のペニスは妙な形で切り裂かれ、血と内臓が飛び出る。 その後、逆さに吊るされた男の顔に血が流れ始めた。 苦しそうに呼吸をする男の横で、ゼラは刀と円月倫についた血をふき取り、そのままなにも言わず出て行った。 ……これでこの国に思い残す事はない。 私の本当にやるべき事はこれからだ。 前に死んだ者と同じ人間を作れるという技術があると聞いた。 それが本当なら、もう一度……またみんなと……。 ゼラはそう思いながら、自分の生まれた国を出て行った。 了
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!