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そこから繁華街に出ると路上で民芸品、野菜、果物を売っている老婆や、仏具店、登山用品店、レストランなどがごちゃごちゃしていて、さらに野良牛、リキシャ、オートバイが通りを動いている。
そのせいか、あまりにも砂埃が酷いので、ゼラは布を口元に巻いてマスク代わりにした。
……ここは賑やかだな。
まさに首都カトマンズ。
なんでもそろっていそうだ。
ゼラは都会の人たちの盛り上がりを肌で感じ、少し気が緩みそうになった。
しかし、その緩みを彼女は恥だと感じ、すぐ気を引き締める。
……まず情報収集がてら買い物でもするか。
ゼラは、たまたま目の前の路上で売っていた果物屋を選んだ。
「どう? 食べるときれいになる不思議な果物だよ。お姉さんは元がいいから、ますますきれいになれるよ」
果物売りの老婆は歳のわりに大きな声だった。
「リーチ(ライチ)にスンタラ(みかん)、あとシャウ(りんご)とケラ(バナナ) をくれ」
「はい、20ルピー(約24円) ね」
「高いな……。私の村じゃもっと安くしていたぞ」
「この辺じゃこの値段だよ。どこも似たようなものさね」
ゼラは納得いかない表情をしながら、しょうがなく20ルピー払う。
「婆さん、ちょっと訊きたいんだが、この辺で金回りが良いところってどこかわかるか?」
「なんだい? お姉さん仕事でも探しているのかい?」
「まぁ、そんなとこだよ」
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