第二章

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「そうさねぇ、ホテル内のカジノとかかねぇ。なんでも24時間やっているみたいだし、働きもんだよねぇ。あたしゃ考えられないよ」 「どこにあるんだ? そのカジノってのは?」 「う~ん、中心街だったかねぇ。たしか七箇所はあったと思うけど」 「そうか。ありがとう婆さん」 ゼラはそう言うと、買った果物を食べるため、砂埃がない場所を探した。 繁華街を出てからすぐに、小さな広場があり、若者が大勢そこに座り込んでいた。 どうやら皆、砂埃がないここをたまり場にしている様だ。 ゼラも座り込み、先ほど買った果物を頬張(ほおば)った。 口にしてすぐにわかるくらい水気がない。 ……なってないな。私たちが作っていたものの方が断然おいしい。 そう思いながら、ゼラは我慢して食べ続けた。 「知ってるか? 日本の女は甘い言葉で口説くと、簡単に落とせるんだぜ」 「本当かよ!? だったら女落とせば、簡単に日本に住めるじゃん」 ゼラの近くで、若い男たちがなにやら話している。 ゼラは別に話を聞く気はなかった。 だが、その会話を聞いて心の中で、くだらない、と思った。 「そういえば、さっきスキーの館に入っていった娘……マヤだっけ? 魔女狩りにあったんだろ?」 「両親は反政府組織に殺されて、おまけにじじいの世話も見てる。まだ子供なのにかわいそうだな」     
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