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「お前は本当にバカだな。まさかこんな人数をひとりで殺したというのか? 武器を持った男が20人はいるんだぞ」
先輩の警察は、酒瓶で小突くのをやめ、ただ呆れた顔をしていた。
後輩は言いづらそうに話し出す。
「いや、あのぉ……俺がジュムラに里帰りした時に、聞いたんですけど。アピ山脈の近くの村に青い眼をした奴が仕切っているギャング団がいて、その右腕でアシュラの異名で呼ばれる奴は、ひとりで百人切り殺したっていう有名な伝説があるんですよ」
「伝説?」
先輩は質問する様な感じで答えると、後輩は待ってましたとばかりに話しだした。
「知らないですか? この町でも噂を聞いた事ある人はいたんだけどなぁ。先輩……いいですか、青眼のギャングには、アシュラの他にも色々と伝説が……」
「くだらない!!! 暇な田舎で流行りそうな話だな」
「ちょ、ちょっと~聞いてくださいよぉ~」
「それよりもう戻るぞ。まるっきり金も貰えないのに出動しなきゃいけないなんて、最悪の仕事だぜ」
ネパールでは、警察を呼ぶものは代金を支払わなければならない(カトマンズの役人は否定しているが)。
だから、上からの指示でここへやってきた先輩は、凄く不機嫌そうにしていたのだ。
「あっ!? 先輩!!! 待ってくださいよぉ~」
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