第三章

3/10
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
シノとはゼラの村の村長をやっていた女性で、わけがあって自分の村にいられなくなった女の子たちを引き取って育てていたみんなの母親代わりの日本人だ。 ……シノは、今私がやっている事をきっと喜ばないな。 そう思っていると、目の前のタメル地区入り口付近に人だかりができている。 どうでもよかったが、ゼラは一応なぜ集まっているのかを確認してみた。 近づくと皆、上を見上げているので見てみると、そこには少女が首を吊って死んでいた。 その少女を見て、ゼラは驚愕(きょうがく)した。 ……マヤ!? その少女はマヤだった。 「どいてくれ!!」 ゼラは周りを気にせず、吊られているマヤを下ろし、その死体を抱きかかえて、彼女の家へ向かっていった。 「まさか自殺するとはな」 スキーの館で、派手な柄のシャツを着た短髪の10代後半の若者たちがなにやら話している。 館の一階は大広間になっていて、若者の数は30~40人くらいはいるだろうか。 「やっぱ、じじい殺したからだろうな」 「まぁ、もう飽きてきていたし、丁度よかったじゃん」 若者たちはマヤが自殺した話を、まるでテレビのバラエティ番組の事でも言うような軽い感じで、笑いながら話していた。 「お前ら、なに話してんだよ」 若者たちが話していると、大広間にスキーが現れた。     
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!