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少女はなにがなんだかわからない状態だったが、押さえつけられていた手が離れていた事に気がつく。
少女が周りを見ると、2人の男の腕が切り落とされていた。
1人は怯え、もう1人はもの凄く長い剣で、頭のてっぺんから竹割りに切り裂かれていた。
血のスープに具が脳味噌の液体が浴びせられ、少女の顔はそれらでドロドロになった。
それを見て怯えていた男は、先ほどまで腕のあった箇所を触りながら、駆け足で逃げ出した。
「ななな、なんなんだよ!? こりゃなんだ!?」
男は、混乱しながら夢中で走っていく。
それを見た剣を持った者は、丸い金属の輪を取り出すと、逃げた男に思いっきり投げ飛ばす。
その金属の輪は、もの凄く回転しながら逃げた男の後頭部から切り始まり、男のこめかみ付近から出ていった。
「逃げられると思ったのか、クズが……」
剣を持った者は小声で吐き捨てるように言った。
まだ困惑していた少女は震えながら言う。
「あ、ありがと……」
刃物を持った者は、死体の着ていた服を脱がし、血塗れの剣を拭き始めた。
「気にしなくていい。別にお前を助けようとしたわけじゃない。私は男の欲望を見ると、吐き気がするだけだ」
剣を持った者は――女だった。
少し陽に焼けた肌で、髪は短く、背も高いせいか、少女は男だと思ったのだ。
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